デザインに重要なのは団子の串だ。

「花より団子」といえば、"見た目より質"という意味です。

 

「はじめまして、デザイナーの柴崎です」と言うと「(見た目ばかり綺麗にしたって…)」との本音をお持ちの方がいらっしゃるのも事実。

よくデザインは "花"の部分だと思われがちなんですが、例えるなら、デザインの大事な部分は団子の"串"なんです!

串は見えない、食べられない。

これを読んでいるあなたもご存知のとおり、串なんて食べられないし、第一、外に見えていない部分です。

串は団子が刺さっているだけなんですが、柴崎はよく新人の頃、先輩アートディレクターにこう言われました。

「お前のデザインは軸がない。」

「一気通貫した軸を作れ!」

「団子の串、串で刺すんだよ」

と。

はて、軸とは。

要するに、ただかっこいい絵ばかり求めず、なぜそのデザインになるのか?が説明できるコンセプトが一気通貫していなければデザインとして価値がない

と言うわけです。

 

先輩は厳しいようですが、枕ことばに必ず「俺も大御所から散々言われたけどね」と加え、口酸っぱく教えてくれました。先輩はシンプルながらも美しく伝わるデザインに仕上げる名人でしたので、説得力が違います。その名人も大御所から受け継いだ。いわば"デザイン秘伝"の部分をいただいたのです。その後はコンセプトシートを必ず照らし合わせてアイディアがしっかり軸を貫いているか?よく考えるようになりました。自分で判断できない時もありますが、大体そういうときはもはやコンセプト=軸から外れている可能性が高いです。

具体例で考えよう。

ここで具体的に考えてみましょう!

 

例えば、今回あなたにデザインして欲しい新商品はファミリー層をターゲットにした新車だとします。

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特徴はこちらです。

  • 単なるファミリーカーではなく、居住空間が広々としている。
  • 車内インテリアも、デザイン性とテクスチャーの感触が気持ち良いものをセレクト。
  • 安定重心で振動も少なく、乗り心地も快適。
  • 価格帯もやや高め。

どうやって売ったらいいでしょう?

今回はこのキービジュアルとキャッチコピーを考えるというお題だったとします。

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いってみれば「まるでクルージングのような移動が楽しめる」といえますね。

それがコンセプトです。ここに当てはまる短い言葉=キャッチコピーと、しっくりくるキービジュアルを考えてみましょう。

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…Thinking Time…

どんどんサムネイルを書いていってみましょう。

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アイディアの中で、今までになく、より魅力的なものを残します。

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採用案

キャッチコピー:「Joy! Cruise!」

絵:澄んだマリンブルーのカリブ海の上を、気持ちよく走る高級ファミリーカーの絵。

  現実にはありえない絵だけど、特別感のある気持ち良さがターゲットに響く。

 

 

以下、ボツ案100ほど。

…のような流れとなります。

デザインは最後。

企画の意図がデザインに落とし込まれてこそ商品のよさが発揮される。

そのためには、軸となるワードを、余計なものを削ぎ落とした短い言葉にし、キーとなるデザインがどんな媒体になっても同じ印象を持てるよう軸を固める。この、軸になるまで尖るほどの削ぎ落としの時間を大事にして欲しいのです。

 

どうでしょう?慣れるまでは難しいと思います。ですがまずは世の中にあふれている広告のたぐいを「はて、どんな軸で作られているのかな?」とナナメからじっくり見つめてみてください。色々見えてくるものがあります。楽しんでみてくださいね。

花より団子、団子より串。

「見た目のデザインをする前に、一気通貫したコンセプト作りが大事」

というお話でした。

もし「この広告いいね!話」がしたかったら、ぜひ一緒にお話ししましょう!